| 坂騒落着 (１４) |
一 平山助次郎儀、組風之旧弊等、奉行之存寄を以、改革可致は素よりの儀にある処、組内勤向未熟又は我意申募、風儀に拘るものは、組替申付可有之旨の風説承り、身分の懸念は無之なれども、自然右之通成行ならば、向組へ対し不外聞の儀と歎ケ敷存、且は向組の者共取計向をも疑惑いたす折柄、兼て学問并勤向の心得共教に受、随順罷在候同組与力大塩格之助養父大塩平八郎、右風聞之趣等彼是及噂を承り、弥心得違存迫り、殊に平八郎儀相弟子渡辺良左衛門等を以、異変之節心掛の儀、度々相尋候を難心得存、容易に組内のものへ応対難相成、役前をも不顧、平八郎方へ忍参り、及面会、剰へ違作打続き、諸民及難渋、一体御政事向に付、平八郎存意に不応儀有之、世を憂る心難堪間、民を弔ふ大義を唱ヘ、往々王道に帰する様致し度、就ては謀計を以奉行を打取、大坂御城を始諸役所、并市中をも焼払、豪家の金銀等窮民へ分け遣し、一且摂州甲山へ可楯籠心底の旨、平八郎申聞、近国へ為告知る由の檄文読聞、右書中には無此上恐多文言も認有之迚、右企不容易儀と心付ながら、徹心いたす廉も有之迚、右企に一味連判いたす始末、重々不届至極、存命ならば引廻の上、於大坂磔可申付処、対公議恐入候儀と改心致し、賊徒発起已前、右謀計の次第及密訴候に付、御仕置御宥恕の上取来る高の儘御譜代に被成下、小普請入可被仰付処、自殺、