| 坂騒落着 (１５) |
一 無宿正一郎、河州尊延寺村次兵衛弟才次郎、弓削村七右衛門事理三郎儀、大塩平八郎慢心に長じ、米価高直、諸民難儀の時節を量り、人気を為靡に計略を廻らし、所持の書籍、其余 摂州兵庫西出町長太夫等より、兼て貪取候金子を以、買調候分をも売払、代金施行致し、一己の慈善に申成、又は軽き身分を不顧、御政道を批評いたし、救民計義と唱へ、奉行を討取、大坂御城を始、市中をも焼払、豪家の金銀貧民江分遣し、一且摂州甲山へ可楯籠など、無思慮大言申述、其上反賊之名目を厭ひ、愚民を惑乱致させべく為、品々不軽文言認載候檄文を彫刻致し、右企同志之儀申勧るを不容易儀と乍心附、右欺謀を信じ、師命難背と存迷ひ、銘々一味連判致し、剰へ徒党発起之節、人数に加はる者共は、平八郎差図に随ひ、一同兵具を帯し鎗長刀を携、百姓共を申威し、多人数徒党に引入、大筒等打払、市中放火乱妨、捕方役人へ敵対いたす始末、不恐公儀仕方、重々不届至極に付、正一郎、才次郎は塩詰死骸引廻之上、於大坂磔申付、理三郎死骸腐爛致さずならば、同様可申付候処、吟味以前病死致すに付、墳墓取毀、