Я[大塩の乱 資料館]Я
2003.4.29

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大塩の乱関係論文集目次


「宇津木静区と九霞楼」

その10

森 繁夫

『人物百談』三宅書店 1943 より

◇禁転載◇


 静区の唯一の遺稿「浪迹小藁」は、僅に五絶三首、五律十首、七絶十二首、七律十二首、五古一首、七古一首を伝ふるのみである、今その若干を掲げて詩風を偲ばう。

静区、身は三千五百石の大家に生れながら、轗軻漂白を常としたので、陳恩亦悲調を帯べるもの尠くない、就中その弟黄石に凄然たる客思を寄せ、慈母に暑衣を獲て之に歔欷せるなど、情緒切々たるを見るべきであらう。

 静区に関する資料の乏しさは、遺憾ながら叙上以外に記述すべき、多くの事柄が存在するとも信ぜられない、すなはち最後に、岡田穆所の、静区の風、行状、著述に於ける一項を挙げて此稿の終末とする。


   附 記

本稿は昭和六年雑誌「尚古」に掲載せるものなるが、之に就て西川太治郎氏は次稿の如き一文を同誌に発表せられた。併て茲に掲記して参考とする。


「宇津木静区と九霞楼」目次/その9/「宇津木静区と大林権之進」

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