Я[大塩の乱 資料館]Я
2002.10.25

玄関へ

大塩の乱関係論文集目次


「大塩事件・天保改革と住友の〃家政改革〃

―〃家宰〃鷹藁源兵衛を中心に―」

その4

中瀬寿一

大塩研究 第14号』1982.11 より転載

◇禁転載◇

二、天保改革と泉屋住友の〃改革〃
   ―「 倹約法」と鷹藁源兵衛の「意見書」一八四一年)― (2)

 そうしたなかでこの年、鷹藁源兵衛が再び「意見書」を提出し、次のような具体案をさししめしている―。

 これによれば、(1)当主友聞の子女(『大阪産業大学学会 報』第一二号所収拙稿の住友家系図参照、友視、友善、友尚、ゑい、ネヰらのほか、庶子だけでも一六人におよぶという)が「追々御成長被遊、往々御仕分御物入も不少、是等の御備」も必要で、(2)江戸中橋店よりの「貢金年千両宛年々差登候様仕度…」、浅草店も「御益の内より一ケ年千両位、差登侯義出来可申」、両店よりの「年々二千両宛貢金」をもって「本家非常の備」にするよう、資本蓄積策を提案し、(3)別子・立川銅山勘定も取締りを強化して、「告後、銅山銀・手当銀丈を以、銅山諸入用相賄、其上にて少々にても御益相残り候工夫」をするよう説いている。そして他方、幕府対策としては、(4)先年江戸城西丸 御造営のさい、吹銅一〇万斤を献納したにもかかわらず、「何の詮も無御座候間、右簾を以、御勘定所へ直願」し、「金壱万両拝借仕候得ハ御益にも可相成」と、このときとばかりに幕府からの一万両借入れをアドバイスしているのである。これをみても〃家宰〃の鷹藁源兵衛が、仲々大した役者で、特権的豪商=鉱山銅吹マニュとしての術策にもたけ、幕府を相手にはやくも〃経営戦略〃を打ちだそうとしていることが如実にうかがえるであろう。


 Copyright by 中瀬寿一 reserved


「大塩事件・天保改革と住友の〃家政改革〃」目次/その3/その5

大塩の乱関係論文集目次

玄関へ