Я[大塩の乱 資料館]Я
2012.5.19

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「大塩の乱関係論文集」目次


「教談大塩後素」
その6
野口復堂(野口善四郎)

『通俗教談集 第一集』大倉書店 1912 所収

◇禁転載◇

 管理人註
   

其後村役場へ泥棒が這入り、地祖金を持去りました事があつて、穴埋めの 為め、村長が采配を振つて、頼母子無尽講を組立てましたが、養母は従来                               そ こ  わた の頼母子で尠からざる損失を蒙つて居るので、入講を拒絶する、処で復 くし 堂は、一策を村長に授け、母に説いて、翌朝、仏壇を売り、地祖の再納を                           なら 致しまして、全村地祖を納むるの義務あるものは、此例に傚へ、再納を彼 此するものは、復堂出馬して、其家に就き理解せしめ終る迄、其家を去ら ぬと、触れさせました処、何様真宗の門徒原、仏壇の金光りが、家の光り、 身の光りと、心得居るお百姓衆、之れ売らされて耐るものかと忽ちに出金                               うち 致しましたので、講を組立つるの必要もなく、所要の金額は一日の中に集 りました、復堂は大阪府庁より賞賜を受けました。此時養母は復堂に向ひ  さながら                          きちがひ 「宛然天満の遣り口じや」と申しましたので、之は矢張り「天満の狂」と 同意味で、単に田舎婆の片言と心得、左のみ意を介しませなんだ。

   


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