「後素手簡」14

Я［大塩の乱資料館］Я
2002.8.25

「後　素　手　簡」
その１４

三村清三郎編 (竹清　１８７６－１９５０） )

『日本芸林叢書第８巻』六合社 1928　収録

◇禁転載◇

天保五年同年五月廿一日附　平松楽斎宛

過日は旅舎におゐて拝晤、大慶御座候待とも、誠に早々之義、実は遺憾に奉存候、分袂後、土山駅にて宿、廿日同所伏見へ夕暮に出、直乗船今暁鶏鳴無恙帰宅仕候間、乍憚御休意可被下候、出立之節は
御親子様共、不相替御遠餞儀被下、御厚意万々奉感謝候、門生共も宜御礼申上候、

一　武備通二冊〆写出来□有之候付、其儘さし上候、御入手可被下候、先つ帰宅仕候義に付、右御挨拶旁如此御座候、已上、

　　五月廿ー日　　　　　　　　　　　大塩後素

　　　平松雅君

尚々国家之御為、御自玉奉祈候、僕も弥益涵養に心力を尽し可申候、御用茂有候はゝ、御申越可被下候、何時にても御訪可申候、呵々、

此書状、川村君へ刀剣之義申遣し候序も有之、相托、略義御免可被下候、已上、

　　　　　　副　啓

御先便に被仰下候聚跋一冊は、貴藩之賢大夫
数馬様江、御上ケ被成候よし、赤面仕侯、別帋百歳老人之詩は、去ル大夫江も先頃揮筆贈候、御序に
御同人様ヘ、御一覧可然奉願候、しかし思召次第可被成候、

案　川村竹坡、名は尚廸字は毅甫、通称貞蔵津坂東陽及猪飼敬所に学ぶ、温厚にして長者の風ある人なるべしと思はる、後津藩国校有造館の督学となり、明治八年九月三十日、七十九にて歿す、寺町光徳寺に葬る、養子寛、教育家として名高く、其養子は軍人として将帥の器なりと云。

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その１４