作 食 法
山製粉は上中下の製を分たざるの前の粉なり、此迄の製造は前に述るが如く、
至て易し、さて乾したる粉を水に解き、再び となし木綿嚢にて圧搾し、滓を去
り、其後両三回水飛して、又曝し、乾して用ひ、 粉団焦餅等好みに任して製し、
糧を助くべく、又諸品の糊に用ふべし、中製粉は上製を取りし次の粉なり、之を
以て饅頭を製するは葛製の如くすべし、 粉団等にするは葛粉蕨粉の製造と同じ、
都て吉野葛を以て製する乾 水 の類皆此粉を用ふれば最も好し、厨用に供する
あ げ も の
は葛粉に代用す、「あんかけ」の類大に好し、油溶物には饂飩粉を代用すべし、
下製粉は上下の粉を取りし跡の粉なり、亦 粉団と為すべし、滓は民間第一の糧
とす、灰汁にて煮熟せるを 乾し莅蔵すれば幾年を経るとも虫生ぜず、囲粉囲稗
等に代用して益少なからず、此滓を碾磨にて楡屑し、能く篩ひ、後五穀或は蜀黍
蕎麦等の粉に三分一、又は四分一雑へて粉団とすべし、又蒸して餅に製するも能
く草餅とする最好し、焦餅雑水製法頗る多し、飯に炊くには挽割の如き滓にても
五穀の類を交へ、菜飯稗飯等を炊く様にすべし、糒にするは荒麦と等分の分量に
い
して別々に熬り、滓は麦より生熬りにして碾磨に付する時合一にして楡屑すべき
なり、(三物考抜抄)
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