と ろ
又は 后、女萎、野老、神馬草と云ふ、
製 造 法
石製の地確にて一人之を舂き、一人之を撹拌すへし、石確なければ木臼を用ふ
るも亦可なり、既に舂砕せし後、其秤量一貫目に水二斗許注入し、仔細に撹拌揉
搓して其鬚毛を尽く取除き、布袋にて搾るべし、搾りたる汁を桶に注入し、一夜
毫も撹動せず溜止すべし、既にして浮水を去り、桶底に留る者を竹箟にて揆し、
盆に載せ、太陽に晒し乾す、之を山製粉と称し、苦味なし、上品なれば、其の秤
量一貫目にて凡百五十目を得べし、中下の品にも因り、時節にも因て秤量増減あ
り、其三等分製法は事長ければ之を略す、又滓を 籬を以て 下し、気強き灰汁
を以て煮熟し、竹籠或は箱に入れ、流水或は瀑泉に浸せば、一昼夜を経て苦味除
き去る、流水なき郷里にては桶に入れ、毎日三四度水を換へ、三日浸し、太陽に
曝し、乾して食料に供す、医薬田糞に用ゆる灰汁にて煮熟するに及ばず、
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