御教喩 八ケ條 (水府斉昭公)
一、父母を大切にいたし、目上のものをうやまひ、目下のものへなさけを
 かけ、家内むつましく致し、年よりをば親類他人によらず常に大事にい
 たし、咄をもうけたまは可申事
一、朝おきを致し、もつぱら農業を勧め可申事
一、けんやくをまもり、吉事凶事につれても、手がる、もつはらにいたす
 べき事
一、育子の義は、時々御ふれになり候通りを守もり、其外何によらず、御
 ふれになり候事は、家内一同へも申まかせ、かたくまもり可申事
一、ばくゑき、わるあそび、并大酒、けんくわ、口論、致候事、かたくつゝ
 しみ、一村むつましく可致事
一、去申年の大きゝんにて、かんなん辛苦いたし候事を、必ずわするべか
 らず、又子々孫々へも申伝可申事
一、むぎ、あは、ひえ、を多く作り、面々貯へ置可申事
一、くず、わらびの根は勿論、かてになり候品には、日々に用ひ、こくも
 つを大切にいたし可申事
   天保八年酉九月
 
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