Я[大塩の乱 資料館]Я
2017.5.14

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「大塩の乱関係論文集」目次


『飢饉資料』(抄) その67

司法省刑事局編・刊 1932

◇禁転載◇

第四章 飢饉の私的対策
 第一 代用食
   (一)食用草木(備荒録 五四頁以下)
     一 食用草木 根之部(2)

管理人註
  

 いけま 土茯苓科 牛尾菜 牛皮消 かひらこ(野州)       しをで(会津)   宿根野生の攀登植物にして蔓長丈余に至る、葉粘魚鬚に似たり、葉間  叉枝を分ち、一細糸蔓を生じ、又金剛刺葉にも似たり、白花を開き、子  を結ぶ、其色黒し、苗茎を採り、煤き食す、山野第一の嘉肴也、又根は  大にして黒色味苦し、之を水浸淘浄煮て糧となす、亦山民之を消食解毒  血症の薬となす、此茎に塩気の味あるを以て、会津地方にて塩手ともい  ふ  はつゆり 百合科 重前菜 かゞゆり(東京) かたはこ(南部)        かたくり(会津) かたかこ(万葉)   武州大箕叡山、其他和州、陸奥等の山野に自生す、葉形両尖、長楕円、  粉緑色にして紫斑あり、柄長し、二葉対生す、但し嫩根のものに唯一葉  を生ずるのみ、三四月葉間より花梗を抽くこと四五寸、梗頭一花を倒垂  す、六弁淡紫色なり、根は白色、形頗葱に似たり、烹熟して食ふ、又此  根を以て葛粉の如く澱粉を製す、味殊に佳く、南部産のものを上品とす、  下剤に効ありといふ、此粉を湯に解き、麪を製したるを「かたくりめん」  と云ひ、又餅となしたるを「かたくかりもち」といふ、又嫩葉を用ふ   万葉集 武士のやそのいもちかくみまかふ寺井の上のかたかこのはな   六 帖 ものゝふの八十乙女こかふみまとむ寺井のうへのかたからの       はな  ほ ご 荳科 土団児 ほどいも、ふど(紀州) つちくり(江州)   諸国山野にある蔓生にして、葉は翼状に五小葉を着け、根は蔓延し、  処々に団塊連珠をなす、烹て食ふ、味噌漬になし、貯へ噎疾に用ひ  效あり  ところ 薯蕷科 土古呂、野老(和名鈔) なまところ(萎       と同名) もちところ、かんとごろ(佐州) きいてん       (北海道)   諸国山林にあり、春月旧根より蔓を生じ、葉茎は薯蕷の如にして、短  く且微しく潤し、其根も又稍薯蕷に似て、大さ指の如く、横生して岐を  分ち、味苦く、又稍々甘し、之を薄く切り、能く煮て流水に浸し、苦未  荷を去りて、飯に雑へ食す、北海道土人、此根を採りて乾し、貯へ、食  用とす、草に数種あり、一種「おにところ」、一名「きところ」、又  「おほところ」と呼ぶものは山野に多く産す、其根は硬鬚多し、新春辛  盤の料とす、味苦く食用に供し難し、是山草



土茯苓
(どぶくりょう)







嘉肴
(かこう)
おいしい料理


























(むぎこ)


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