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い いけま 土茯苓科 牛尾菜 牛皮消 かひらこ(野州)
しをで(会津)
宿根野生の攀登植物にして蔓長丈余に至る、葉粘魚鬚に似たり、葉間
叉枝を分ち、一細糸蔓を生じ、又金剛刺葉にも似たり、白花を開き、子
を結ぶ、其色黒し、苗茎を採り、煤き食す、山野第一の嘉肴也、又根は
大にして黒色味苦し、之を水浸淘浄煮て糧となす、亦山民之を消食解毒
血症の薬となす、此茎に塩気の味あるを以て、会津地方にて塩手ともい
ふ
は はつゆり 百合科 重前菜 かゞゆり(東京) かたはこ(南部)
かたくり(会津) かたかこ(万葉)
武州大箕叡山、其他和州、陸奥等の山野に自生す、葉形両尖、長楕円、
粉緑色にして紫斑あり、柄長し、二葉対生す、但し嫩根のものに唯一葉
を生ずるのみ、三四月葉間より花梗を抽くこと四五寸、梗頭一花を倒垂
す、六弁淡紫色なり、根は白色、形頗葱に似たり、烹熟して食ふ、又此
根を以て葛粉の如く澱粉を製す、味殊に佳く、南部産のものを上品とす、
下剤に効ありといふ、此粉を湯に解き、麪を製したるを「かたくりめん」
と云ひ、又餅となしたるを「かたくかりもち」といふ、又嫩葉を用ふ
万葉集 武士のやそのいもちかくみまかふ寺井の上のかたかこのはな
六 帖 ものゝふの八十乙女こかふみまとむ寺井のうへのかたからの
はな
ほ ほ ご 荳科 土団児 ほどいも、ふど(紀州) つちくり(江州)
諸国山野にある蔓生にして、葉は翼状に五小葉を着け、根は蔓延し、
処々に団塊連珠をなす、烹て食ふ、味噌漬になし、貯へ 噎疾に用ひ
效あり
と ところ 薯蕷科 土古呂、野老(和名鈔) なまところ(萎 草
と同名) もちところ、かんとごろ(佐州) きいてん
(北海道)
諸国山林にあり、春月旧根より蔓を生じ、葉茎は薯蕷の如にして、短
く且微しく潤し、其根も又稍薯蕷に似て、大さ指の如く、横生して岐を
分ち、味苦く、又稍々甘し、之を薄く切り、能く煮て流水に浸し、苦未
荷を去りて、飯に雑へ食す、北海道土人、此根を採りて乾し、貯へ、食
用とす、草 に数種あり、一種「おにところ」、一名「きところ」、又
「おほところ」と呼ぶものは山野に多く産す、其根は硬鬚多し、新春辛
盤の料とす、味苦く食用に供し難し、是山草 也
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土茯苓
(どぶくりょう)
嘉肴
(かこう)
おいしい料理
麪
(むぎこ)
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