Я[大塩の乱 資料館]Я
2017.5.15

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「大塩の乱関係論文集」目次


『飢饉資料』(抄) その68

司法省刑事局編・刊 1932

◇禁転載◇

第四章 飢饉の私的対策
 第一 代用食
   (一)食用草木(備荒録 五四頁以下)
     一 食用草木 根之部(3)

管理人註
  

 わらび 水龍骨科 蕨   諸国山野に生す、春新苗茎は灰湯を掛け、煮て食す、又乾蕨とす、亦  塩蔵す、根は掘取り洗ひ、後臼にて搗き、布袋に入れ、別に水を入れた  る桶に其袋を入れ、能く揉出し、澱粉の出たる頃、袋を絞り、粕を再び  搗き、前の如く繰返し、数回にて終る、其澱粉は再ひ水に投し、度々水  を替へて、能く日乾して貯ふ、而して用法は此澱粉を水に溶し、鍋にて  能く煉り、煮上るなり、而して透明なるは上品とす、不煮なる者は不透  明なるがため、未宜しからす、成るべく能煮るべし、之を適宜にちぎり、  豆の粉に少し食塩を加へ食ふべし、此餅の名をわらびもちと云ふ、又葉  は乾となしたるを「わらびほた」と云ふ、生魚肉等の運搬用として效  用あり、又根部の皮を縄となす、之を蕨縄と云ふ、庭園籬に使用す、亦  澱粉を糊となし、渋を加へたるもの、傘合羽糊となす、民益尠なからず、  又漢国にても大に飢食に用ひしより、黄裳詩に「皇天養民山有蕨蕨根有  粉民争採朝暮採山欲崩救死豈知筋力竭」、然れば蕨根を堀て飢を助るこ  と、和漢異ることなし、飢年には秋末より春に至迄、飢民山に入、廬舎  を造り、妻子を携行、日々蕨根と葛根とを水簸して、粉を採餅に作り、  粮として食す、此二種民生に益あること五穀に亜りと  かまつの  香蒲科 蒲筍                    ヒネ   蒲の芽にして、根に近き白筍を採り、揀り剥き、醤油味噌にて、煮食  す、又根を採り、麁皴を剥ぎとり、晒らして干麺となし、餅になし食す  そふじゆつ 菊科 蒼求   昔人只朮と唱す、蒼白を分たす、宋の世より以来、始て之を分ち、所々  山中に生し、苗高二三尺、其葉茎を抱て生す、稍間葉棠梨に似たり、其  脚下葉三五又あり、皆鋸歯小刺あり、嫩葉食ふべし、秋に至りて苗枯、  根老薑の状の如し、旁細根あり、蒼黒色、肉黄白色、油膏あり、黒皮を  去り、薄く切り、二三夜水に浸し、苦味を去り、煮熟して食ふ


























(かんせき)































(おけら)


嫩葉
(わかば)


(はじかみ)
ショウガの異名


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