Я[大塩の乱 資料館]Я
2017.10.2

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「大塩の乱関係論文集」目次


『飢饉資料』(抄) その74

司法省刑事局編・刊 1932

◇禁転載◇

第四章 飢饉の私的対策
 第一 代用食
   (一)食用草木(備荒録 五四頁以下)
     一 食用草木 根之部(9)

管理人註
  

 しろね 唇形科 地瓜児苗   水辺に多き草にて、方茎なり、葉は披針状粗鋸縁をなして対生す、此根  白色にして粃塩に漬て香物して、又煮て食ふべし   しやうぶ 天南星科 菖蒲 白葛   池溝に生す、根の肥大なる節少なきを採り、水に浸し、邪味を去り、煮  て食す、但鉄を犯せば、人をして吐逆せしむ、鉄の刀にて、切灰湯にて煮  熟し、水を換、二三宿浸せば害なし、  ひるがほ 施花科 施花 あめふりはな(奥州、越後、上下野) こく        づる(越前) はたけあさがほ(和州) さかつる(木曾)   諸国原野に生ずる蔓草也、葉形長くして尖り、本両尖をなすものあり、  又短くして本に四尖をなすものあり、夏月葉腋より花梗を出し、花を着け、  形牽牛花に似て小く、又漏斗状をなし、淡紅純白なる二品あり、午前に花  を開き、夕に至り萎む故に「ひるがほ」の名あり、漢土にて此根を煮食ふ  の説あり、又沖縄にても蒸し食ふ、方言節根と呼ぶ、内地の村民此根梅醋  へ漬食す。又蒸して食す、亦葉もき熟し糧とす   ひゆ 鈔科  比由(和名鈔) ひやうな(紀州) ひやうあかさ      (津軽) はびよう(加州) ひよ(筑前、江州) ひい(雲州、      備前) ひいな(阿州)   ひゆは数種のの総名にして人(一名白)を食用の常品とす、春月  種を下して生ず、「あかひゆ」は赤なり、又一種「あほばあかひゆ」あ  り、赤は昔時染料に用ゐたるものありと云ふ、「むらさきひゆ」は紫  花は雑色相交るものにして、即ち五色あり、類数品其葉共に食ふべし、  「いねひゆ」は、細なり、中の下品なれども、随地自生多く、高七八  寸、葉亦小にして頂凹し、夏秋の際二三寸の穂をなし、細少花を着く、此  一種紫紅色のものあり、東濃にて「べにくさ」と呼ふ、共に食用とす、  ぜんまい 水龍骨科 狗背   深山に生じ、蕨の如く一茎なし、末葉を巻く拳を握るに似たり、嫩茎  を採り、て、乾し貯ふ、用ふる時は浸水、一宿再び煮て食す、淡甘脆美  にして、会津、秋田。山形之産尤も佳也、其根黒色、長三四寸、岐多し、  狗の背骨に似たり、大さ両指頭許薬用となす、又糧となす時は蕨の粉を製  するに同じ、一種大葉なる者あり、俗に鬼狗背と云ふ、食するにかたし

 
 


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