さ さゝゆり 土茯苓科 黄精
   一名救荒草と云ふ、何国の山にも沢山あるものにして、仙台の奥より
 南部に産するは上品也、春月嫩葉を採 熟換水浸、苦味去り、淘洗して食
 す、根は九蒸九暴極熟し、熟せざれば咽喉を刺し、食しがたし
き きゝやう 桔梗科 桔梗 ひとゑぐさ(古歌) くわんそう(信州)
       せいねい(江州) 一重草むけかし(北海道) きゝやう
       (会津)
  山野向陽の地に自生し、人家にも多く栽えて、花を賞す、七月花を開く、
 弁五裂其色鮮紫、所謂桔梗色なり、其他単一重、干葉花形の差別色の濃淡
                          に
 白等数種あり、此根は漢医日常の薬品とす、又嫩苗を煮食ひ、根を漬物と
 すべし、朝鮮にても根を食用とす
 きがらすうり 胡芦科 瓜  かうり、やまうりかずら(泉州) からす
        うり(会津)
  野生にして諸国に多し、春宿根より蔓を生ず、其茎五七尖を玉瓜に似た
 り、夏月花亦玉瓜の如く弁頂細裂し、乱糸の如し、後ち結たる瓜は円くし
 て、頂尖れり、冬に至りて黄熟す、故に「きがらすうり」の称あり、此根
 の澱粉は、即ち漢薬の天花粉なり、其仁は亦薬品とす、漢土にも此根をと
 り、粉となし、餅を製し、此瓜の を粥となし、又仁を以て油を製するの
 説あり、本邦にても荒年には山人根を堀り、「うりぬ」し称して擣く砕き、
 水飛し、米麦の粉に和し、餅として食ふ、此瓜嫩なるものは塩蔵として食
 す
 
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