Я[大塩の乱 資料館]Я
2017.10.7

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「大塩の乱関係論文集」目次


『飢饉資料』(抄) その76

司法省刑事局編・刊 1932

◇禁転載◇

第四章 飢饉の私的対策
 第一 代用食
   (一)食用草木(備荒録 五四頁以下)
     二 食用草木 葉茎之部(2)

管理人註
  

 いたとり 蓼科 虎杖 どうぐひ(会津)   諸国山野に多し、茎如竹笋状、幹中空、其老たる者は杖となすべし、北  海道には甚長大なるものあり、此茎を火炬となし、葉を煙草に代ふ、其嫩  芽は筍の如く、緑色微紅にして、斑点あり、生食し、又塩漬にして食すべ  し、味稍酸し、亦き水に浸し置き、煮て食へば酸味を去り、山民常食す、  又嫩葉は日に乾し、砕きて筋を去り、飯に和して、炊きて食す、根は暑月  和甘草煎為飲色如琥珀甚甘美也、瓶置井中令冷徹如氷時人呼為冷子啜之尊  放茗極暑毒、又其汁染米作糜益美但姙婦食すれば、其子腋臭あり   日本紀云、反正帝生淡路宮時於是有井汲之洗太子時多遅花落有井中因為  御名号多遅比瑞歯別天皇遅花者今虎杖花也   いのこつち 科 午膝 ふしたか、こまのひざくさ(水戸)   春生苗方茎高二三尺、青紫色節あり、鶴膝の如し、葉尖円匙の如く、頗  るの葉に似て長く尖り、両々相対す、秋月節の上に開花、穂をなし結実  す、其根極て長大三尺に至る雌雄あり、雄を佳とす、雄は茎紫色、根長大  柔順なり、雌は茎青色、根細小にして多岐、嫩葉を食用とす   いらくさ 蕁麻科 蕁麻 いたくくさ、へいら(会津)   深山幽谷に生ず、其茎に刺あり、高二三尺、葉青、背毛芒あり、人触れ  ば蜂にさゝれたる如し、人溺を以て洗ひは痛止、花ありて実なし、葉茎は  煮て食用とす、又茎を塩漬とす、茎の皮を剥けば、麻に等しく織物となす  べし   いぬひは 無花果科 大仙果 ちゝのみ(万葉集) ゆのしば(和州)   和州の山中にあり、冬濶春葉を生ず、譲葉に似、濶青末尖、八月無花、  結実一樹二三顆状、枇杷に似て小く、初青熟後赤紫色、内に白細子あり、  小児喜で食ふ、嫩葉は飯に和し食す   いものき 五和科 いとじ(日光) こくあぶら(尾州)   諸国山林にあり、葉形尖頭、楕円の三葉合して一葉をなす、其梗長し、  嫩葉を食用とす   いぶきからし 十字科 みやからし、やまからし、かはな ちやうぜん          じな(日光)   江州伊吹山、日光、木曾、越後の諸深山に生す、脚葉厚くして、其色深  緑且光沢あり、又其形は腎臓に似て、柄に小葉異状を排出するものあり、  或はなきものあり、清明の後より小暑の頃十字様、黄花を開き、後長角を  結ぶ、此草乍ち用ふる事を得   いはたばこ 岩菜科 ちはちさ、いはな   深山岩石に着き生す、形梢煙草の状あるをあるを以て名く、夏花梗を抽  き、細梗を分ち十余花を開き、盞上五裂し、紫色頗る茄子に似たり、又白  色の者あり、山民葉を摘み、塩にて揉み、又醋味噌に和して食ひ、或は羹  となす

 


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