すめのひゑ 灯心草科 地楊梅 やりんぼ、すゞめのだんご(紀州)
  原野向陽の地に生す、小草にして葉形披針状多く叢生し、微毛あり、春
 月細梗を抽く、二三寸頂に小花攅簇して毬をなし、黄葯を出す、此実を採
 りて炒り粉となし、 食ふ、亦救荒の食糧となす
  すべりひゆ 馬歯 科 馬歯  すべりひやう(佐州) すべりぐさ
        (木曾) いずひやう(相州) すんべらびやう(加州)
        いわひずる(伯州) ぬめりひゆ(防州、豊前)
        すめりひやう(会津)
  路傍或は畦圃に生ず、初夏苗を生す、葉形倒卵円にして厚く、長さ六七
 分許両対す、円茎淡赤色地に布きて、直立せす、枝を分ち、茎頭の葉腋毎
 に五裂の小黄花を着く、此草多肥夏採りて倒垂し置くも、久しく枯葉せず
 して、其茎頭上に向ふ、此草和漢共に食用となす、此嫩茎葉を連ねて き、
 味噌にて食ふべし、又舶種の茎葉稍々長大にして横布せず、高七尺に過ぐ
 る者あり、「おとすべりひゆ」と呼ぶ、漢名楕耳菜なり、黄緑二種あり、
 倶に食用となすに軟脆にして味佳なり、又 きて乾貯ふも可也
  すいな 虎耳草科 ねふり、ひめなのき、さかなよめ(熊野)
                               ヤ ロ ジ
  勢州、紀川等海辺山中に多し、落葉潅木にして高五六尺、葉形旌節花に
 似て、淡緑色稍々薄く、柔に尖頭楕円細鋸縁をなし互生す、五六月枝頭或
 は葉腋に梗穂を出す、二三寸細小花を綴り、後実を結ぶ、朴樹の実の如く、
 十一月頃熟して黒褐色となる、此樹枝を挿みて活し易し、熊野にては此枝
 の心を取り、灯心の代りに用ふと云ふ、山民此嫩葉を採り食用とす、又 
 きて苦味を去り、乾貯ふ
  すぎな 木賊科 接続草
  原野陂堤等に生す、節々相次処皆承座あり、葉節を抱く、松針の如くに
 して軟緑色高七八寸、稍長すれば茎伸葉踈となり、一尺余に至る、花実な
 く、其叢生する者を遠望すれば、杉樹に似たり、故に杉菜と名く、嫩葉 
 て飯に和し、味淡甘微松気あり
 
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