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い いちゐ 殻斗科 鉤栗
                   トチ
  諸国に産し、此木は 木之甜者其状如櫟、又之謂鉤櫟木大数囲葉比干 
 子略薄硬有鋸葉子形似椎子、而有縦理( 子味苦凡樫釣栗椎子三物 相似
 如小椀俗呼名供器)灸て食す
は はしばみ 殻斗科 榛
  奥羽の山中に自生す、葉狭長、実形長く、榧実に似たり、寒国を上とす、
                                 シバ
 又数品あり、良なる者は皮薄く、仁多し、実は新枝の梢に生ず、大さ茅栗
 の如くにして円尖淡白、下は薄葉を以て包む、萼大にして実は小し、殻を
去れば、内に白仁あり、生食すれば味栗の如し
と ときはあけび 木通科 野木瓜 郁子(古名) むべ、まるあくび
  (熊野) つるかき、いたみむくまんじう
  蔓草にして通草の属なれども、常緑品なり、勢州、紀州、九州等の山林
 に自生し、昔時近江、奥の島より此実の熟したるを禁中へ献ぜし例あり、
 甘実にして食用となす
  とち 無忠樹科 七葉樹 止知、止知乃美、栃(栩)、橡(和名鈔) 
     天師、栗、とちにおしよう(北海道)
  七葉樹は諸州深山に多し、落葉喬木にして周囲数抱に至る材質淡黄白色
 緻密にして美なり、其の木理の皺絞をなすちゝれ栃と云ふ、器具に造り愛
 翫すへし、此樹皮苦渋、西洋説に幾那の代用となすべしと云ふ、故に世医
 往々之を用ふるものあり、又美濃の土人は此皮を赤褐色の染料となす、葉
 形は長柄ありて、七小葉柄頭に聚り、七指葉の状をなす、五月枝頭に穂を
 抽き、花を開き、後円実を結ぶ、外皮茶褐色内に一二、或は三種子あり、
 熟すれば自ら三裂し、種子脱落す、形略々栗に似て円扁其色は黒褐なり、
 ひた
 殻を去れば黄白色、味苦し、山民之を渓流に し、苦味を去り、米粉を加
 し搗きて となすを「とちもち」と呼ぶ、啻に凶歳のみならず、平常の食
 用とすへし、故に江洲伊吹山にて此樹を禁伐したり、又此の嫩葉は き、
 或は茶煙草に代用す
 
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(かし)
 
(きゅう)
榧
(かや)
栩、橡
(くぬぎ)
木理
(もくり)
 (ひた)し
 
(し)
啻
(ただ)
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