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よもぎ
よ よもき 菊科 艾
山中及び原野に多し、春宿根より生じ、夏に至りて其茎漸く長す、秋細
茎を分ち、花を生じ、後実を結ぶ、春嫩葉を採り、蒸し之に米及蕎麦粉を
加へ、搗きて となし食す、又秋実の熟したるを採て能く干し粮に貯ふへ
し
つ つくばね 檀香科 胡鬼子 かはまめ(信州) かいまめ(濃州)
諸国山林に生ずる落葉潅木なり、葉は対生し、長形細尖頭にして、立夏
後枝頭に細花を綴る、雄木雌木あり、其実に翅ありて女児の玩ぶ羽子に似
たり、故に「つくばね」の名あり、此実下酒の料となし、山民塩蔵し鬻ぐ
もの多し、或は炒り食す、嫩葉は摘みて蔬菜とす、味淡甘佳なり
く くぬぎ 殻斗科 檪 つるばみ(実の名) かしはき、どんぐりくのき、
しだみ(東国)
葉形栗又抱に似て鋸歯の端に弱刺あり、実は稍円大橡椀児に柔刺あり、
材は焼きて上等の炭を得、此実は平常小児の翫物となすのみと禹も、凶歳
には又採りて、栃実の如く渋を取り製し、糧とすべし
くちなし 茜科 梔子 久知奈之(和名鈔)
諸国の山林に自生す、殊に暖地に多し、人家にも多く栽えて、藩籬とな
し、花を賞し、実を収む、葉は倒卵円にして頂尖り、厚硬にして対生す、
五月花を開く、純白六裂の盆状をなし、瓣厚くして香気あり、後実を結ぶ、
其形両尖楕円にして、縦に六稜あり、或は八九稜に至る、熟すれば黄赤と
なるを以て、黄色の染料となし、又漢医薬用の品とす、此花を摘み、酢味
噌にて食ゑば、味佳也、或は此花を乾し貯ふ、又梅醋に紫蘇を和し、此花
を漬くれば、紅色に染みて美なり、下物とすへし、漢土にて此花を梅醤密
糖にて製し、美菜になすといふ
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胡鬼子
(こぎのこ)
翅
(はね)
鬻(ひさ)ぐ
殻斗科
(かくとか)
ブナ科の旧称
梔子
(くちなし)
藩籬
(はんり)
垣根
瓣
(べん)
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