Я[大塩の乱 資料館]Я
2012.4.24

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「大塩の乱関係論文集」目次


「大塩平八郎」
その10
芝 松南

『忠魂義胆 武道の誉』精華堂 1910 所収

◇禁転載◇

大塩平八郎(下)功名栄利誰論ぜん (5)管理人註
   

                           いきせき 詞『と小泉渕次郎が眉を顰める折柄、また/\一人の同心が息急切つて  帰つて来た。 △『モシ旦那…… タゝ大変でござります。 済『何ツ……。 △『御奉行様のお指図で只今一組の与力同心、御門前に集つて居ります  る。                               とり 済『小泉、何うも益々不審ぢや、宿直の我々を差し置いて、奉行自ら捕    吏を集めるとは何事でござろう。 △『旦那、ソンなこと云つている間ぢやございません、密訴した奴ア、  臆病ものゝ平山、吉見でござりまする。 済『エツ…… 間違ひはあるまいな。         たしか         きやつ     や つ    くゞり △『そりやアもふ確でございます…… 彼奴等が丑刻頃に潜門から這入  ましたことは、門番が顔を見覚えて居ります。 節『聞いて両人は眼をいからし、クワツとせきたち物をもいはず、刀お  つるり立ちあがる。 済『小泉、モウ猶予する場合ではござらぬ、一刻も早くこのことを先生           てちがひ  へ知らせねば万事の齟齬、邪魔する奴は片端より、斬つて/\斬りま  くらん。 詞『と言ひつゝ袴の股立ち取つて出んとする。トタンに入り来る捕手の  面々、御用々々と声かけて、ドカ/\と這入つて来た。                     いのち 小『瀬田氏、御油断召さるな、此処は拙者が生命に替てお引受け申す、  貴殿は一刻も早く……。 済『心得申した。          ますらを 節『もの\/しやと大丈夫が、抜く手も見せぬ修練の早業、一上一下一               とう\/  進一退虚実を尽して薙立る「遂々一方を斬開いて出た、ソレツ取逃し  ては一大事、バラ\/と」敵の作る鎗ぶすま、くりだす穂先は秋野の すゝき            あなた        こなた  薄「済之助はモウ死物狂ひ」彼方に顕れ、此方に出で、縦横無碍にき       こぶし  りまくる、挙のさえは稲妻の、いからを走るにことならず。                             してう 詞『やゝ暫らく戦つて居りますうち、如何なる隙やありけん鷙鳥の如く  かいくゞつて、天満川崎の大塩の邸に着いて、密訴の次第を物語る、     わかれ  お話し岐路て小泉淵次郎でございます、取り囲まれては斬崩し、斬崩  しては取囲まれ、必死となつて戦ひましたが、多勢に無勢。                           ものゝふ 節『あはれ小泉淵次郎、身体疲れて綿のごと、嵐に散るや武士の、赤き  心の色みせて、血汐に染るからくれない。

鷙鳥
猛禽











 


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