Я[大塩の乱 資料館]Я
2012.4.23

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「大塩の乱関係論文集」目次


「大塩平八郎」
その9
芝 松南

『忠魂義胆 武道の誉』精華堂 1910 所収

◇禁転載◇

大塩平八郎(下)功名栄利誰論ぜん (4)管理人註
   

         あ を        こ 節『見る/\顔色蒼白さめて、這は容易ならぬ一大事。 詞『早速人を遣つて当夜の宿直を調べさせると、洗心洞屈指の勇者、瀬  田済之助に小泉淵次郎と云ふことが判つた、いよ/\驚いて、先づ奉           ふたり   つかま  行所に宿直する此の両人を捕縛つて置かねば、如何なる騒動が起るか              とりて  も知れぬ、山城守は腹心の捕吏に、     ふたり 山『彼等両人は大切なる捕物であるから、若し手に余れば殺すも苦しう  ないが、取逃しては一大事であるぞ。    いひつけ 詞『と命令まして二十人の同勢を向はする。 節『虫が知らすか両人とも、寝てもトツキリ寝つかれず、身体ビツシヨ  リ汗かいて。不図眼を醒す丑満頃。 済『小泉氏。 小『何んでござる。                        ありさま たゞごと 済『イヤ、今夜に限つての胸騒と云ひ、俄に騒々敷形勢、徒事ではある  まい。 小『左様、拙者も最前からの胸騒。 節『コリヤ我身に取りて凶事なるか、それとも天満川崎の、大塩先生の  身に取りて凶事なるか。       ようす          きい     さぐり 詞『兎も角く動静を探らせよう、と心利たる同心を探偵に出す、間もな  く帰つて来て。 ○『御奉行様へ直々に密訴するものがあつたと申す事でござります。 済『何ツ、密訴…… ハーテ何者であろう。    よ し        ふたり 小『仮令直々の密訴にいたせ、第一宿直する我々両人に御沙汰もないは  第一の不審。

   


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