Я[大塩の乱 資料館]Я
2012.4.19

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「大塩の乱関係論文集」目次


「大塩平八郎」
その5
芝 松南

『忠魂義胆 武道の誉』精華堂 1910 所収

◇禁転載◇

大塩平八郎(上)情けの光 恵みの露 (5)管理人註
   

       ます ら お           はらわた 節『流石豪気の益良雄も、天を仰いで嘆息し、腸を断つ悲憤の涙、アゝ          おも          きた  是非もない、深き念ひに打ち沈む、折から来つた一人は。 詞『東組の与力瀬田済之助といふ豪傑。              けし 済『先生、今度の奉行は実に怪からん奴でござります。 平『如何なされた。 済『イヤ跡部山城守は実に小量の奸物でござりまする。 平『いかにも奸物であることは、拙者も察して居る。 済『先生、彼れは与力の隠居風情が、天下の政道に立ち入るとは小癪千                         たくん  万だ、再び彼れ是れ言さぬやう、先生を圧伏せんと計画で居りまする。 平『フゝム、拙者を圧伏せんとするのぢやな、宜しい圧伏もされやう、  が窮民の所置はなんとする筈ぢやな……。               てだて 済『サア、それに就ては何んの手段もありません。 平『ナント……。 済『唯先生を圧伏せんとする所存……。         たづさわ     よそ 平『天下の政治に干与り、司直の道にあるものが、斯る危急を外に見て、  私憤を洩すとは何事ぞ。 済『先生斯うなつてはモウ最後の手段……。 平『ムウ……。 済『それより外に道はなし。 平『瀬田氏……。 済『ハツ……。 平『死すべき時に死せざれば死に優る恥ありぢやの。 済『然らば之れより直ぐ様。 平『待て/\。 節『万事は私の胸に在り、かたき心の一徹が、石に立つ矢の桑の弓、ひ  きかゑさじと大塩が、下も憐れむ情より、救ふて遣ねばなるものまい                         いよ/\  と、神にちかいてふるひ立つ、勇気勃々義気凛々、愈々義挙のお話し、  一寸一息。

   
 


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