村上義光・島野三千穂
『大阪城天守閣紀要 第17号』1989.3 より転載
◇禁転載◇
年中行事 十二月十三日 事始 一、しめなわ之事 わらをうちはる ま取そろへる事 是を十三日より廿四日迄に次々しめす数々之しめなわヲ仕上ル (熊) 一、門之くま引 壱ツ 一、玄関熊引 一ツ 一、裏門しめなわ 一ツ 一、門口々 一ツ 一、横口々 一ツ 一、裏口々 一ツ 一、歳徳棚々 一ツ 一、神棚々 一ッ 一、門なか屋々 一ツ (客路地) 一、客
路々 一ツ (輪注連) (けんごと) (雪隠) 一、わじめ 凡三十 わじめハ間事\/およひ井戸納屋せついん 諸道くにもちゆる 一、くもじの口あけ之事 廿五日 一、門松之事、此日、松屋松もち来ル、竹之笹之事 一、門松ニ添てたてる也、此日、山草いすり葉、買 (四手) (串) 一、くま引ニいすり葉、山草、しで、くし柿 (搗 栗)(野 老) 一、こまめ、数ノ子、かちくり、ところ、ほん俵、此五品ヲ紙ニ包、中 (ママ) (橙) 水引、其上ニ伊勢老海付ル、竹くしに、たい\/、みかん、 (凝カ) (屋)(煮染) こらし、松やににしめにて酒のます、祝儀遣ス、 (位) 四十八文くらい也 〆 (余) 一、松之数 門松一組、高サ 弐間ヨ 一、玄関松 高サ 一間ヨ 一、門口一組 高サ 四尺ヨ 一、裏門一組 高サ 五尺ヨ 一、裏口一組 高サ 三尺 橘ヲさす、くま引ニ付ル (注連縄) 一、しめなわトわじめにいつり葉、山草じてヲ付ル 一、横口一組 高サ 三尺 (客路地) 一、客
路一組 高サ 三尺 (屋) (雪隠) 一、根引松 凡十五組、是ハ神棚、仏前、井戸、納や 、せついん
廿七八両日之内 小 廿七 大 廿八 一、門松立、しめかさりいたす、此日歳暮之あいさつにまわる (箸) 一、家内中且親類、はし紙こしらへ置 一、歳暮送り物之事、事始よりいつにても送る (熨斗昆布) 一、守へ歳暮、何品ニても壱升取之、かゝみ餅みかんのしこぶ一枚 餅つき之事 (余)(粳) 一、餅米、凡、壱石ヨ、うる 壱斗 内わけ 五斗 かきもち 五升 (武家餅カ) 武キかゝみ、 武キにハつきいれヲ付てかさる也 一、つきいれ之事 小豆 壱合 もち米 五合 つきいれ 是ヲうすく のばし、たけ 一尺くらいのひし形ニ切置、かゝみ餅之上ニ置 一、壱升五合 三ツ 一ツ五合あて 三宅様 一、壱升 一重 三組 守へ 一、五合 一重 万才 一、二合 一重 神仏十組 壱升 一重 三組 是ハ大晦日に下女下男ニ遣ス、歳徳様江十二之餅神之しきへならヘで 十二閏月ハ十三入置、もち花、是ハわらニ付、其余ハこもちトのし 一、うす こゝろみ 一、うす なられ 〆 (カ) 餅つきへ祝義之事 祝義 着干 一、だいこんヲひよしきニ切 一、ごぼう、たゝきごぼうニ切、是ヲしまい之せいろうニてむし だいこんハすみそニてませ ごぼうハごましよゆうニ入 一、こまめ 数之子 是ニて餅つきニ酒のます 家内も中々酒のむ
廿八日 にしめ 小 廿七日 大 廿八日 一、黒まめ ごまめ 数之子、こいも、にんじん、こんにやく、 ほうだら、ごぼう、やきどうふ 高野どうふ たゝきごぼう (阿茶羅カ) あちやら (鰤) 一 大ふり 一疋 一 組重之部 (結)(昆布) 上 ごまめ むすひこふ、小梅 (苞豆腐カ) 二 かまぼこ くしがい つとふ (沙魚カ) 三 たまご はぜ ゆり えび かぶ しいたけ 一、何にても肴見合 ごぼう 一 大晦日 神仏様ヲ祭る事、昼めしニ、麦めし、焼物 みそしる なますニて祝事 夕方ニそば 朝から風呂ヲたく事 一 宝来くむ事、さんぼうニ紙ヲ敷 米一升松竹梅ニたいこんニさし まん中ニ置、米ニてつゝむ のしこぶ くしかき たい\/ みかん (ママ) からし たちはな かやかちくり ほん俵 ところ かつノ子 (ママ) こまめ こまめ ころ柿 伊勢老海 〆 一、神様へかかみ餅 仏前ヘハ みかん并、数々 かさり物 一、祝膳 出し置 みそする事、かつをかく事 (屠蘇酒) 夜九ツ時ニ井戸江とそさけ置事 一、床ニ 宝来 花 かけじ 一、床棚ニ □□ とそ□よし 三宝ニかわらけ盃
一、武キ之かゝみ之事 三宝ニ いすり葉 山草敷 かかみ餅其上ニつき入置、又上ニたい\/みかん橘こらし 下女下男ニ かゝみ餅ニ男ハ下帯 下女ハ湯もじ遣ス 紙ニ包物 かや かち栗 ところ ほん俵 こまめ かすノ子 ころ柿 歳徳棚之事 一 明之方ヲ祭る事 塩鯛二ツくゝる 是ヲかけ鯛トいふ、此鯛ヲ (カ) 六月之朔日ニきざみ こぶとたき 食す事 正月十五日 後としこしなれハ歳徳棚たけ節分迄其まゝおく 一 棚之両はしニもち花さげる 十二之餅、かゝみ餅 御酒 棚之廻りヲしめなハニて包ムよふニ掛ル もち花わらにて作る (絵−省略) 是二ツ 但シ閏月有ル時ハ拾三筋ニスル也