各地の暴
動
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大塩の乱は神経過敏の当時の社会を非常に騒がせたけれど、結局失敗に
終り、主謀者大塩は自殺して了つたのである。併しながら当時いろ/\の
風説が立つて、彼が遁走したと伝へられたので、厳しく捜索されてゐる。
而して彼の乱の後、これに似た暴動が諸地方に於て起り、当時の人心を愈々
恟々たらしめた観がある。■に平田篤胤の高足生田道満が越後柏崎に稍々
大なる徒党の主謀者として起ちしが如き、大塩平八郎と共に注意すべきも
のであらう。而もこれ等の乱は何れも直接間接に大塩の乱に学びし所あり
しなるべく、かく見来れば、大塩の乱は徒党小なりと雖も、決して軽々に
看過すべきではあるまいと思ふ。
それから大塩平八郎を目して社会主義者であると云ひ、又は勤王論者の
先鋒なりとするものもあるが、それは大塩にとつても甚だ迷惑なことであ
らうと思ふ。彼は富者の財を奪つて、これを貧窮者に分たんとしたには違
ひないが、彼はこれによつて当時の窮民を救ふといふことを第一の目的と
したので、根本的に社会制度を改めんなどは夢にも思はなかつたことであ
らう。彼が乱をなすに至つた心情を窺ふには、檄文を紹介するのが便宜で
あらうと思ふ。今左にその大要を挙ぐ。
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恟々
(きょうきょう)
恐れおののく
さま
■は欠字
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