Я[大塩の乱 資料館]Я
2001.1.10

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大塩の乱史料集目次


『天 満 水 滸 伝』
その1

中村芳松(発行)競争屋(発売) 1888

◇禁転載◇

適宜、改行しています。


 天満水滸伝序

天保二年の春二月。大坂与力の大塩後素が。近来不作打続き米穀頻りに価を騰(たかく)し。窮民飢に泣くの惨状を。見に見兼て救恤を。有司に乞ふとも聴ざれば。遂に憤懣身を忘れ。衆を聚(あつ)め党を結び。陽(よう)に救民の挙と称し。陰(いん)に素願を達せんと。叛旗を樹てゝ押迫る。先は名に負ふ浪華津の。金湯城のことなれば一戦忽ち敗走なし。素願を得遂ざる耳(のみ)か。衆を傷け家を焼く其害数え易からず。抑(そ)も後素が願意は嘉(よみ)すべきも其行為の善らざるより終に自滅を速(まね)くに至りしなり。

江湖の士。本編を繙(ひもと)く時は。宜しく此に猛省なし。凡そ志の嘉(よみ)すべきも。 苟且(いやしく)も其行の嘉すべからざる者は。即ち之 を為こと勿れと聊か記して叙詞と為しぬ


『天満水滸伝』目次その2

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