Я[大塩の乱 資料館]Я
2012.9.7

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「大塩の乱関係論文集」目次


『大塩中斎空虚の哲理』

その16

高田集蔵

立正屋書房 1925

◇禁転載◇

二 哲学的思索
 (其二)(5)
管理人註
   

 春夏秋冬は天地自然の心の空虚から生ずる道の流行であつて、之によ つて万物はその生育を遂げて行くのでありますが、夏の熱と冬の寒とそ の極に達するのとき、人は之を怨憎して仇敵の如くする。しかし天地自 然は為めに聊かもその道を枉けようとは致しません。聖人太虚の心、亦 之と同般でありまして、その道を行ふや、利害感情によつて苟も喜慶し、 苟も怨磋する常人に媚びることはしないと云ふのであります。     虚 心  天地は虚心なり  聖人も虚心なり  並に従容として                まか  たゞ裏よりする「道」の働きに信すなり。  されば天地は万物に対して  一点の私愛なく  聖人は民衆の上に  毫毛の小恵を施さじ  たとはゞ犠牲の芻狗か  祭祀過ぎぬれば、人棄てゝ顧みず  この氷心の冷々たるものありて  天地も、人も  始めて「道」の用たるべし。





(ま)け

































芻狗
(すうく)
まぐさと犬、
祭に用いる


『大塩中斎空虚の哲理』目次/その15/その17

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