古の高士
古の高士は心を「道」の深処に涵し
その微妙をさとり幽玄を体しき
あゝ誰か彼れが造詣の深きを測らむ
彼らの造詣まことに測り難かれど
こゝろみにその形容の彷彿を描さむか
あゝいかに憚れるかな
彼らは冬、河を徒渉する人に似たり
あゝいかにをのゝけるかな
彼らは四隣を虞るゝ人に似たり
その儼乎として慎めるさまは
賓客の威儀を正せる如く
その融爾としてくつろげるさまは
氷の将に釈くけなんとするが如し
あらき
彼らは樸の如く素純に
谷の如く虚心なり
而して濁水の如く
つゝ あら
揮然其の徳を韜みて見はすことなし
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