Я[大塩の乱 資料館]Я
2012.8.27

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「大塩の乱関係論文集」目次


『大塩中斎空虚の哲理』

その5

高田集蔵

立正屋書房 1925

◇禁転載◇

一 科学的考察(3)管理人註
   

 更に転じて、広く天地自然の現象を考察しましても、一切活動の元機 秘密はやはり目に見えぬ空虚に存するのであります。行く水の流れは絶 えずして、しかも元の水に悲ざる河川は素より、己が心のまゝに吹くて ふ風に致しましても、気圧、気流によつて絶えず調和を求めて已まぬそ の運動を促進するものは、やはり目に見えぬ空虚であります。  天文の現象に就いても、私は空虚中心説を信ずる者であります。しか し天文となると題目があまりに大きくして終に無現に達し、星一つの神 秘を解くにさへ、私共の心を宗教的信仰に導かずには已まないものがあ ります。ニユートンの引力説は天体運行の現象を一応説明し得た様であ りますが、近くアインシユタインの相対性原理はそれが猶絶対のもので ないことを証明してゐるのではありませんか。ルネ・デカルトの渦巻に 関する所謂 Cartesian System やアブラハム・ウエルネルの Neptunian Theory なぞは、恐らくラブラスの星雲説のヒントとなつたもので、天文 の現象を解するに欠くべからざる予備知識ではありませうが、終に以て 天文の黙示せる大なる謎を解くの鑰とするに足りません。

Cartesian
デカルト学派の

neptunian
海王星の

ラブラスの
星雲説
宇宙の塵が集
まり星雲にな
り、更にそれ
が集まって星
が誕生する


(かぎ)


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