Я[大塩の乱 資料館]Я
2000.5.9

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大塩の乱関係論文集目次

高安月郊「大塩平八郎」目次


「大 塩 平 八 郎」その11

高安 月郊(1868-1944)

金港堂書籍 1902 より



◇禁転載◇

第四段 其二 同 横側

***
遠く海、兵庫の港、湊川、西国街道見ゆ。松の並木の間を大名の行列過ぐ。
矩之あれ楠の墓前にて、籠をとヾめて、皆礼拝。
中斎身は敗れても後の世の、人を動かす真心は、
矩之忠か孝か仁か義か、
中斎人の命はこゝろぢやなあ。
  風の音
  格之助鞭を携へ登り来る
格之父上、父上。
中斎オ格之助、何として参つたな。
格之お帰りまで待つて居られず、馬に鞭うちまゐりしは、今朝奉行所より俄の呼出し、取りあへず出頭、致せば大和殿には気色悪しく、此程の施行の事、退隠の身を顧みず、上を侮る致方、急度叱ると云渡され、
矩之なに施行もお叱りとな。
  空愈々暗くなる
格之重々無念でござりまする。
中斎(刀を抜て岩を打つ、火出づ)ウム火か、(電光)天にも火あり、地にも火あり、今に四海を照して見せうぞ。


高安月郊「大塩平八郎」目次その1(登場人物)/その10その12

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