Я[大塩の乱 資料館]Я
2019.4.19

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「大塩の乱関係論文集」目次


なにはいぶん  しほの なごり
「浪華異聞 大潮余談」
 その46
宇田川文海 (1848−1930)

『絵入人情 美也子新誌 第16号』所収 駸々堂 1882

◇禁転載◇

 第16回(3)管理人註
  

聴て居たからハ、改て謂ふにも及ばぬが、今私が君子に謂ふた有枝有葉、ナント無理 なことハ、一條もあるまいがな、と手強く謂バ、軽く受け、貴公ハ御尤だと思召すか 知りませんが、妾が承つた処でハ、御道理様だと計りハ申されません。 ナニ、尤だとハ思ハれぬと、夫ハ又何処が無理だと少し遽込て問掛るを、おかねハ弥 々落着て、何処がと仰しやるが、全体、君子様に女房になれと仰しやるのが御無理で 御座ります、 ソレハ又何故に、何故と云ふてマア考へても御覧じませ、おなるさまがアヽ云ふ事に お成りなされたも、貴君様の御不品行より起つたこと、又此大安のお内の此う云ふ訳 に成たのも、貴君様のお不心得より出来た事、して見れば、お姉へ様の為にも、お家 の為にも成らなかつた、お前様に失礼ながら、君子様がウンと云ふてお連合に成う筈 ハなし、又夫計か君子様にハ、良き旦那様をお取なさるか、左もなけれバ、行々然る べき婿をお貰ひなされて、大安のお家を再び元に復さなけれバ成らぬ身の上なれバ、 以来此事ハ思切た幸次郎様とおかう様を大切に養育、おなる様のお追善の為に、最う お連合をお持なさる事ハ、お止なさるが宜しう御坐り升、と断然謂れて、流石の安兵 衛も、元より吾無き後にてハ吾と思へと、母の遺言あるおかねの事、殊に如何にも尤 もなる言分なれバ、二言と答ふる辞もなく、坐敷ハひらけて見へたる折ネ、小山の店 の箱奴がチヨコ/\走にて入来り、例の高調子にて、ハイ君子さん、お支度で御坐い 升、

   


「浪華異聞 大潮余談」目次/その45/その47

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