●こ うらすこ
一三四 這の裏微しく禍福生死の念在るあらば、則ち
●
格物の物の字、決して分暁明白なる能はざるなり。
をは
もし其の念なくば、則ち心解し了る。
這裏微有禍福生死之念在焉、則格物之物字、決
不能分暁明白也、如無其念、則心解了、
●りくしようざん こせい ●れい しんどう
一三五 陸象山先生、嘗て声窓櫺を振動するを聞き、
かつ さと さと い
亦た豁然として覚るあり。これ其の覚りし所以を道
はず。然れども其の義を考ふるに、中は即ち虚な
ひゞき てつ
り、故に其の響窓紙に徹して、窓紙振動す。若し先
づ物あり其の中を塞がば、即ち虚にあらず。虚にあ
いづく
らざれば則ち其の響なし、安んぞ窓櫺を振動するこ
さとり ●こゝ
とこれ有らん。先生の覚は、葢し此にあるか。
陸象山先生、嘗聞声振動窓櫺、亦豁然有覚、
此不道其所以覚、然考其義、中即虚、故其
響徹窓紙、窓紙振動、若先有物塞乎其中、即
非虚、非虚則無其響矣、安振動窓櫺之有、先
生之覚、葢在此歟、
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●這の裏。心の
中。
●物の字云々。
物は事なり。
●陸象山。宋の
陸九淵、前出。
●櫺。窓にとり
つける「レンジ」。
●此。虚を指す。
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