● へんえき
一三九 心の太極既に復し、而て時に随うて変易すれ
●じちう
ば、則ち聖賢の時中なり。心の太極未だ復せずして
変易すれば、則ち世俗の巧偽なり。而て其の始め甚
び たが
だ微に、其の終りは大いに違ふ。故に云ふ、君子は
つゝ ●さが がうり あやま
始めを慎しむ。差ふこと毫釐の如くにして、繆るに
千里を以てすと。この故に未だ太極の体を復せざる
●けい
ものは、一に経を守らんのみ。
心之太極既復、而随時変易、則聖賢之時中也、
心之太極未復而変易、則世俗之巧偽也、而其始
甚微、其終大違、故云、君子慎始、差若毫釐、
繆以千里、是故未復太極之体者、一守経而
已矣、
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●太極。易の繋
辞に「易に太極
あり」と見ゆ、
道を称す。
●時中。中庸に、
「君子の中庸や、
君子にして時に
中す」とあり、
時に随つて中道
に処す。
●毫釐。史記太
史公自序に「之
を毫釐に失へば
差ふに千里を以
てす」とあり。
●経。正道。
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