山田準『洗心洞箚記』(本文)12 Я[大塩の乱 資料館]Я
2009.1.29

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『洗心洞箚記』 (本文)

その12

山田 準訳註

岩波書店 1940 より



◇禁転載◇

上 巻訳者註

   たう         いうり      じやうしやう 一七 湯の夏台文の里、及び文丞相の土室、其の皆   ●   ●                  たづ   裕如晏如として平生と異ならざる所以の道を繹ぬ              れいご   るに、他にあらず。其の囹圄身を容るるの虚は、                  れい   乃ち太虚の虚にして、其の宮室窓櫺の内に居ると、               せま        いや   亦た以て異なるなし。故に狭からず、又陋しから   ず、憂へず、又た懼れず、為れ其の裕如晏如の由   て然る所なり。而て要は其の心の虚を失はざるに   在るなり。人もし吾が心の虚を失はずんば、則ち   いづ   何くに往て広大ならざらん、何くに居つて安楽な              けふろう   らざらん。而て又た何の狭陋かこれあらん。何の           憂懼をこれ為さん。    湯之夏台、文之里、及文丞相之土室、繹其所    以皆裕如晏如与平生異之道、非他、其囹    圄容身之虚乃太虚之虚、而居其宮室窓櫺之内    亦無以異、故不狭又不陋、不憂又不懼、是    其裕如晏如之所由然也、而要在於不其心    之虚也、人如不吾心之虚、則何往而不広    大、何居而不安楽、而又何狭陋之有、何憂懼    之為、


湯の云々。殷
の湯王は夏の桀
王の為に夏台に
幽せられ、周の
文王は殷の紂王
に里に囚はれ、
宋の文天祥は元
に捕はれて、土
牢に入れらる。

裕如。ゆるや
か。

晏如。やすら
か。

囹圄。牢獄。

櫺。窓のれん
じ。


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