山田準『洗心洞箚記』(本文)126 Я[大塩の乱 資料館]Я
2010.3.14

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『洗心洞箚記』 (本文)

その126

山田 準訳註

岩波書店 1940 より



◇禁転載◇

上 巻訳者註

          いんうん           これ 一五四 一門人・天地の状を問ふ。曰く近く諸を                  くら  身に取れば則ち知り易しと。曰く、闇くして知り難      なんじ  そくき    いんうん  しと。今爾満口の息気即ちなり、知り難しとは  何ぞや。   一門人間天地之状、曰、近取諸身則易知、   曰、闇而難知矣、今爾満口息気即、難知矣   者、何耶、            あやま       お 一五五 内に虚なる者、誤つて水に堕つれば、則ち皆     しず         浮んでまず。これ特に虫豸禽獣のみにあらず、人  と雖も亦た然り。然れども人は則ちんで浮ばずし  て死す、十人にして十人、百人にして百人、曾て一 くわつ  活する者ある無きは何ぞや。此れ他なし、其の水に    堕つれば、即ち生を欲し、死を悪むの念を起すこと                     彼れより甚だし。而て其の念既に方寸に塞つ、故に                  ふる  あし  方寸実してにあらず、况や手を振ひ脚を動かし、  のど       けうがう  咽を破り、叫号するをや。んで浮ばずして死する                     けう  は、此れを以てなり。もし其の念と其の動叫と無く                   んば、則ち必ず浮んでまずして活きん。是れ天理          あやし        人   らてい  なり、又た奚んぞ異まんや。或曰く、裸は則ち子                       の言の如く、或は然る者あらん、衣裳して堕つ、則  ち如何と。曰く、心に誠敬を存して太虚に帰するの         じん       おもむ        人は、則ち数万仭の海底と雖も、徐ろに其の帯を解           き、其の衣裳を脱ぐこと、是れ難きことなし。鳴呼、         お       じゆつ  此れ独り水に堕つる時の術のみならんや。   虚於内者、誤堕水、則皆浮而不、此非時虫   豸禽獣、雖人亦然、然人則而不浮而死焉、十   人而十人、百人而百人、曾無一活者、何也、   此無他、其堕水、即起生悪死之念乎彼、   而其念既塞乎方寸、故方寸実而非、况振手   動脚、破号乎、而不浮而死焉、以此也、   如無其念与其動、則必浮而不而活矣、是   天理也、又奚異哉、或曰、裸則如子言或然   者、衣裳而堕焉、則如何、曰、心存誠敬而帰   乎太虚之人、則雖数万仭之海底、徐解其帯、   脱其衣裳、是無難矣、鳴呼、此独堕水時之術   而已哉、



。気が、
もや\/と盛な
る意。易の繋辞
伝に「天地
万物化醇」とあ
り。

息気。呼吸の
気。














虫豸。虫の足
なきを豸といふ。









虫豸より甚し。












。はだか。


『洗心洞箚記』(本文)目次/その125/その127

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