山田準『洗心洞箚記』(本文)127 Я[大塩の乱 資料館]Я
2010.3.15

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『洗心洞箚記』 (本文)

その127

山田 準訳註

岩波書店 1940 より



◇禁転載◇

上 巻訳者註

              やや      うつ 一五六 狷忿に類する者あり、動もすれば心に鬱して    にく             れん     しゆよ  人を悪む。予之に告げて曰く、子は廉にして取予を                謹み、諛言を吐いて以て人に媚びず、子が心よく知                         るや否やと。曰く、よく知ると。これ乃ち子の流俗  人と相反する処なり、子が心亦たよく知るや否やと。               曰く、能く知ると。而て子妬心あり、時に竊かに発  す、之を知らざるやと。曰く、有り、故に知らずと         ちようじよく      すうひ  謂ふを得ずと。子寵辱に驚くと禍福を趨避するとの  心あり、子之を知らざるやと。曰く、有り、故に亦  た知らずと謂ふを得ずと。これ即ち流俗の人と、子                        いずく  と相同じき処、子亦た之を知らざるやと、曰く、安                     ひつきよう  んぞ知らずと謂ふを得んやと。然らば則ち畢竟子と                 あと  流俗の人と相反するは、乃ち其の跡のみ、而て心は  則ち殊別なし、又た何ぞ彼れを非とし、我れを是と    かう\/  し、然として怒るを為さん。   有狷忿、動鬱心而悪人、予告之曰、子   廉而謹取予、不諛言以媚人、子心能知否、   曰、能知、是乃子与流俗人相反処、子心亦能知   否、曰、能知、而子有妬心、時竊発、不之   乎、曰、有焉、故不知、子有寵辱、   与避禍福之心子不之乎、曰、有焉、故   亦不知、是即流俗人、与子相同処、   子亦不之乎、曰、安得知哉、然則畢   竟子与流俗人相反、乃其跡耳、而心則無殊別   矣、又何非彼是然怒為、



狷忿。狭量。
躁急にして忿る
こと。

廉。廉潔。

流俗人。世間
一般の人。


妬心。嫉妬心。



寵辱。寵は順
境、辱は逆境。









跡。表面行為
上の事。

々然。むく
むく腹を立てる。


『洗心洞箚記』(本文)目次/その126/その128

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