たたん
一五七 学は多端なりと雖も、要は心の一字に帰する
●
のみ。一心正しければ、則ち性と命と皆了すべし。
●ぎくわんけい
魏環渓先生曰く、「曰く、心を正しくす、曰く心を
存す、曰く心を洗ふ、人欲を去れば之を尽くす。曰
したが
く性を尽くす、曰く性に率ふ、曰く性を養ふ、天理
ま
に循へば之を尽す。曰く命を知る、曰く命を俟つ、
したが
曰く命を立つ、曰く命に至る、人欲を去り天理に循
●かは
ひ、死生渝らざれば之を尽くす。世人論弁紛紛たり、
まど と
皆余の大いに惑うて解けざるものなり」と。此れ心
性命を分別して説くが如しと雖も、要は人の解し易
きがためのみ、其の立言の意を推せば、則ち吾が言
と亦た何ぞ異ならんや。
学雖多端、要帰乎心一字而已矣、一心正、則
性与命皆可了、貌環渓先生曰、「曰正心、曰
存心、曰洗心、去人欲尽之矣、曰尽性、曰
率性、曰養性、循天理尽之矣、曰知命、曰
俟命、曰立命、曰至命、去人欲循天理、
死生不渝尽之矣、世人論弁紛紛、皆余之大惑
不解者也、」此雖如分別心性命説、要為
人易解而已、推其立言之意、則与吾言亦何
異哉、
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●了。事すむ、
卒業といふ如し。
●魏環渓。清の
学者、魏象樞、
環渓と号す。順治
二年の進士。
●渝らず。生と
死とを一にして
心変せぬ。
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