人 きしやう ぎやうし
一六六 或太虚の気象を問ふ。曰く、天は則ち仰視す、
即ち太虚なり。人は則ち言ひ難し。言ひ難きにあら
ず、其の人未だ嘗て見ず、故に言ひ難きなり。然れ
●のう ふのう
ども古人に於て或は之を見る。能を以て不能に問ひ、
た くわ み
多を以て寡に問ひ、有れども無きが如く、実つれど
むな をか かう
も虚しきが如く、犯せども而も校せず、是れ乃ち太
虚の気象なるか。
或問太虚之気象、曰、天則仰視、即太虚焉、人
則難言矣、非難言、其人未嘗見、故難言也、
然於古人或見之、以能問於不能、以多問
於寡、有若無、実若虚、犯而不校、是乃太虚
之気象也歟、
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●論語泰伯篇に
出づる曾子の語
なり、葢し顔回
を評す、校は計
校なり対抗なり。
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