こゝろ ●
二〇 心太虚に帰せずんば、則ち必ず物あり、物あり
●こく きやうせい
て動かずと謂ふ者は、便ち是れ告子強制の道にし
●
て、孟子の云ふ所にあらざるなり。孟子の動かざ
ねつ
るは、即ち太虚なるを以てなり。火に入つて熱せ
ぬ く く
ず、水に入つて濡れず、何ぞ況んや区区の富貴貧
しか
賤にして、而も動かすに足らんや。
心不 帰 乎太虚 則必有 物、有 物而謂 不 動者、
便是告子強制之道、而非 孟子之所 早云也、孟
子之不 動、以 即太虚 也、入 火不 熱、入 水
不 濡、何況区区富貴貧賤而足 動 之乎、
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●物あり。物欲
など。
●孟子公孫丑上
篇に出づ、不動
心につき告子は
強ひて心を抑制
して動かさず。
●孟子は義を集
め行ふ結果自然
に心動かず。
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