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三 世俗方位の説は、固より非なり。然れども方位の
●づさん ●
二字は、曲士の杜撰にあらざるなり。周官に曰く、
惟れ王国を建て、方を弁し位を正すと、即ち是れ其
●らんしやう ●
の濫觴か。然れども其の弁の正とは、謂はゆる鬼門
星宿の事にあらず。鬼門星宿の事は、聖経に於て見
る無し、則ち取るに足らざるなり。取るに足らずと
みだり
雖も、謾に土木宮室の事を事とす、則ち道にあらざ
るなり。道にあらざれば則ち災無しと雖も、君子は
決して為さざるなり。而て弁の正と周公の制の如く
なれば、則ち災ありと雖も、君子は必ず之を為すな
り。
世俗方位之説、固非矣、然方位二字、非曲士杜
撰包也、周官曰、惟王建国、弁方正位、即是
其濫觴歟、然其弁之与正者、非所謂鬼門星宿之
事、鬼門星宿之事、於聖経無見、則不足取
也、雖不足取、謾事土木宮室之事、則非道
也、雖非道則無災、君子決不為也、而弁之与
正、如周公之制、則雖有災、君子必為之也、
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●方位。方角。
●杜撰。杜默の
詩、律に合はぬ
義にて妄作の意。
●周官。周礼を
謂ふ、周礼地官
に、惟れ王、国
を建て、方を弁
し、位を正すと
あり、周公旦の
作と解せらる。
●濫觴、始まり、
孔子家語に、岷
江の始め、觴を
浮ぶべしとある
に出づ。
●鬼門。悪しき
方角。
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