山田準『洗心洞箚記』(本文)155 Я[大塩の乱 資料館]Я
2010.7.16

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『洗心洞箚記』 (本文)

その155

山田 準訳註

岩波書店 1940 より



◇禁転載◇

下 巻訳者註

      世俗方位の説は、固より非なり。然れども方位の         づさん          二字は、曲士の杜撰にあらざるなり。周官に曰く、  惟れ王国を建て、方を弁し位を正すと、即ち是れ其   らんしやう                   の濫觴か。然れども其の弁の正とは、謂はゆる鬼門  星宿の事にあらず。鬼門星宿の事は、聖経に於て見  る無し、則ち取るに足らざるなり。取るに足らずと     みだり  雖も、謾に土木宮室の事を事とす、則ち道にあらざ  るなり。道にあらざれば則ち災無しと雖も、君子は  決して為さざるなり。而て弁の正と周公の制の如く  なれば、則ち災ありと雖も、君子は必ず之を為すな  り。   世俗方位之説、固非矣、然方位二字、非曲士杜   撰包也、周官曰、惟王建国、弁方正位、即是   其濫觴歟、然其弁之与正者、非所謂鬼門星宿之   事、鬼門星宿之事、於聖経見、則不取   也、雖取、謾事土木宮室之事、則非道   也、雖道則無災、君子決不為也、而弁之与   正、如周公之制、則雖災、君子必為之也、

方位。方角。

杜撰。杜默の
詩、律に合はぬ
義にて妄作の意。

周官。周礼を
謂ふ、周礼地官
に、惟れ王、国
を建て、方を弁
し、位を正すと
あり、周公旦の
作と解せらる。

濫觴、始まり、
孔子家語に、岷
江の始め、觴を
浮ぶべしとある
に出づ。

鬼門。悪しき
方角。


『洗心洞箚記』(本文)目次/その154/その156

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