●こけいさい ●
七 胡敬斎先生曰く、「陳公甫も亦た些の道理を窺ひ
したが
見る。下面に序に循ふの工夫なきに因つて、故に遂
くうけん い
に空見と成る」と。此れ中材已下を責むるの事にし
● れう
て、大賢を責むるは則ち不可なり。凡そ大賢は一了
れう
百了す。然るに之を苛責すること、亦た諸生児輩を
とくか なづ か
督課する如し、為れ乃ち後儒泥みて上根の人を駆り、
●とう あゝ
以て禅門に走らしむるの竇を開く所以なるか。噫。
胡敬斎先生曰、「陳公甫亦窺見些道理、因下
面無循序工夫、故遂成空見、」此責中材已
下之事、而責大賢則不可也、凡大賢一了百了、
然苛責之、亦如督課諸生児輩、是乃後儒所
以泥而騙上根之人、以開走於禅門之竇也
歟、噫、
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●胡敬斎。名は
居仁、明初の純
儒、朱子を宗と
す、文敬と謚せ
らる。
●陳公甫。名は
献章、白沙と号
す、静中の学を
主とす、敬斎と
同門。
●一了百了。一
つ悟れば、百ま
で悟るとの意。
●竇。(あな)、
門戸といふ如し。
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