● も
六 毛西河先生曰く、「良知は孟子に出づ、原と疑ふ
●
べきなし。特に文成此れを提げて直ちに堯舜孔孟の
学に従ふ、宋学と相反する処なり。此の二字を掲ぐ、
特に文成領要を得て、優に聖域に入るのみならず、
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且つ苗を化して験実あり。則ち万世に功ある者なり」
と。西河の陽明先生を推尊すること即ち此の如し。
而て其の良知を致して以て意を誠にするの学は、之
●かうりふ ししゆく れう
を高笠先生に私淑して、終に了悟するところあり。
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其の証文・知本等の書に於て見るべし。只だ其の宋
くわげき
学と相反すると謂ふの一語は、乃ち過激なり。程朱
何ぞ曾て良知を廃せん。学人心を平らかにして其の
これ
遺書文集を読めば、即ち往往焉を説き出せるを見る
べきなり。只だ陽明先生事事之を説くが如きにあら
な
ざるのみ。然らば則ち奚んぞ相反することこれあら
ん、故に学は心を平らかにして之を講ずるを貴ぶ。
毛西河先生曰、「良知出 孟子 、原無 可 疑、特
文成提 此直従 堯舜孔孟之学 、与 宋学 相反処、
掲 此二字 、不 特文成得 領要 、優入 聖域 、
且化 苗有 験実 、則有 功 万世 者、」西河推
尊陽明先生 即如 此、而其致 良知 以誠 意之学、
私 淑之高笠先生 、終有 了悟 焉、於 証文知本
等之書 可 見矣、只其謂 与 宋学 相反 之一語、
乃過激也、程朱何曾廃 良知 学人平 心読 其遺書
文集 、則可 見 往往説 出焉 也、只非 如 陽明
先生事事説 之耳、然則奚相反之有、故学貴 乎
平 心講 之、
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●毛西河。前出。
●文成。王陽明
の諱。
●苗を化す。龍
場駅及び両広の
靖乱等。
●高笠。未だ検
出せず。
●証文、知本。
毛氏の著、大学
証文、大学知本
を云ふ。
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