山田準『洗心洞箚記』(本文)17 Я[大塩の乱 資料館]Я
2009.2.21

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『洗心洞箚記』 (本文)

その17

山田 準訳註

岩波書店 1940 より



◇禁転載◇

上 巻訳者註

二四 勇士は気を養うて理を明かにせず。儒者は理を   明かにして気を養はず。常人は則ち気を養はず、                     すうひ   亦た理を明かにせず、栄辱禍福惟だ是れ趨避す          るのみ。理気合一、天地と徳を同じうし、陰陽   と功を同じうする者は、其れ惟だ聖賢か。    勇士養気而不理、儒者明理而不気、    常人則亦不気、亦不理、栄辱禍福、    惟是趨避而已矣、理気合一、与天地徳、    陰陽同功者、其惟聖賢乎、 二五 血気の気は、血盛なれば則ち盛なり、血衰ふれ             たの         ば則ち亦た衰ふ。故に恃むに足らず。浩然の気は、   則ち血の盛衰に因つて以つて盛衰を為さず。而て   常に身心に充塞し、死に至つて衰へず、変らず。     さく  か    えい   曾子簀を易へ、子路纓を結ぶの類の如き是れなり。   ●                  ●かう   集義の功を積みて、心に慊する者にあらざるより   は、之を得る能はず。    血気之気、血盛則亦盛、血衰則亦衰、故不    恃、浩然之気則不血盛衰以為盛衰、而常    充塞身心、至死不衰不変、如曾子易簀子    路結纓之類是也、自集義之功而慊于    心、不之、



●理気合一。理
と気とは二なり
とする二元論に
対して、之を合
一なりと視る一
元論。
















●孟子公孫丑上
篇に浩然の気の
章あり、正気を
いふ。

●簀。「すのこ」、
敷物なり、曾子
死に臨み簀を取
り易ふ、礼記檀
弓篇に見ゆ。

●纓。冠の紐、
子路衛の乱に死
する時、礼を正
し纓を結んで死
す、史記に見ゆ。

●集義。孟子浩
然の気の章の語。

●慊。満足の意。


『洗心洞箚記』(本文)目次/その16/その18

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