山田準『洗心洞箚記』(本文)179 Я[大塩の乱 資料館]Я
2010.8.22

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『洗心洞箚記』 (本文)

その179

山田 準訳註

岩波書店 1940 より



◇禁転載◇

下 巻訳者註

       三〇 質・文に勝つものは、多聞多見を事とせずと  雖も、而も良知内に失はず、猶石中の火のごとし。        あら             特に未だ用に顕はれざるのみ。故に曰く野と。文・  質に勝つ者は、嘗て良知を信ぜず。而て博識意見、          げん  や  只だ外に馳す、猶原を燬くの火の如し、既に本体              せい しつちゆう  を失ふ。故に曰く史と。夫の精一執中の学に従事  する者の若きは、則ち良知を内に失はず、而て之                 あた   ひんぴん  を事事物物に致し、発して皆節に中る。彬彬たる  を欲せずと雖も得んや。故に曰く君子と。   質勝文者、雖多聞多見、而良知不   乎内、猶如石中火、特未於用耳、故曰   野、文勝質者、嘗不良知、而博識意見、   只馳於外、猶如原火、既失本体矣、故   曰史、若夫従事精一執中之学、則不   良知於内而致之於事事物物、発皆中節矣、   雖彬彬得乎、故曰君子、       お    あふ          み 三一 晴夜起き、仰いで天文を観る。乃ち古聖賢の         さんさくらんさん       ことごと  文章、法あつて参錯爛燦明白神奇なるもの咸く這   れ  のつ  箇に則とり来れることを知る。   晴夜起、仰観天文、乃知古聖賢文章、有法   而参錯爛燦明白神奇者、咸則這箇


論語雍也篇に.
質文に勝てば、
則ち野、文質に
勝てば、則史、
文質彬々、然る
後に君子とあり、
野は鄙野、史は
事に習ひ誠足ら
ず、彬々は光采
美はしきなり。

●精一執中。書
経大禹謨に、堯
舜禹相授けて、
惟れ精、惟れ一、
允にその中を執
れとあり。
























●参錯云々。文
(アヤ)ありて入
りまぜり、きら
きらとかゞやく。

●這箇。俗語、
天文を指す。


『洗心洞箚記』(本文)目次/その178/その180

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