● ざう●
三六 口耳の虚より、五臓方寸の虚に至るまで、皆
れい
是れ太虚の虚なり。而て太虚の霊は、尽く五臓方
あつ ●いへ
寸の虚に萃まる。便ち是れ仁義礼智の家する所な
じゆんくわん
り。其の家する所の仁義礼智は、即ち太虚に循環
●
する所の春夏秋冬なるのみ。是れに由つて之を観
れば、則ち仁義礼智は、春夏秋冬と異なつて同じ。
故に昔人曰く、「人は天なり、天は人なり」と。
●
夫子の謂はゆる天何をか言はんや、四時行はれ、
も
百物生ず、天何をか言はんやとは、是れ天を将つ
て人徳を言へるなり。然らば則ち天は人なり、人
は天なりと言ふも、亦た理ならざらんや。
自口耳之虚、至五臓方寸之虚、皆是太虚之
虚也、而太虚之霊、尽萃乎五臓方寸之虚、便
是仁義礼智之所家焉也、其所家焉之仁義礼智、
即太虚所循環之春夏秋冬也焉耳、由是観之、
則仁義礼智、与春夏秋冬異而同、故昔人曰、
「人者天也、天者人也、」夫子所謂天何言哉、
四時行焉、百物生焉、天何言哉、是将天言人
徳也、然則曰天者人也人者天也、不亦理
乎、
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●五臓。肝、腎、
肺、心、脾を云
ふ。
●方寸。心。
●家。家として
居住するの意。
●天に在つては
春夏秋冬、人に
在つては仁義礼
智、皆太虚の作
用といふなり。
●孔夫子の語は、
論語陽貨篇に出
づ。
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