りきりやう
二八 其の力量を知つて、其の知量を知らざるは、世
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の通患なり。もしまた其の知量を知つて、其の力
量を知る如きは、則ち遜譲の風起る。而て何ぞ才
ねた
を忌み能を嫉むことこれあらん。
知其力量、而不知其知量、世之通患也、若
復知其知量、如知其力量、則遜譲之風起焉、
而何忌才嫉能之有、
しほ
二九 枝葉萎るるも、而かも根猶元気を存せば、則ち
●よみがへ ●と い
甦るの理あり。根既に蠧し、而て枝葉猶生くるが
ごとき者は、則ち必ず甦るの理なきなり、然り而
●まい
て昧者は其の枝葉を修飾して、以て其の盛茂を望
いま
む、此れ笑ふべし。亦た自ら警しむべし。
枝葉萎、而根猶存元気焉、則有甦之理矣、
根既蠧、而枝葉猶生者、則必無甦之理也、然
而昧者修飾其枝葉、以望其盛茂、此可笑、
亦可自警、
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●通患。一般の
通弊。
●甦。蘇生。
●蠧。虫喰ふ。
●昧者。愚昧の
人。
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