山田準『洗心洞箚記』(本文)206

山田準『洗心洞箚記』(本文)206 Я［大塩の乱資料館］Я
2010.9.22

『洗心洞箚記』　(本文)

その２０６

山田　準訳註

岩波書店 1940　より

◇禁転載◇

下　巻 訳者註

　　　　　　　　　　　　　よ　　　　　　し六一　下等の人、師友の資に縁つて、強ひて善を為　　　　　　たと　 ●まんう　　　　　さゝ　すものは、譬へば満盂の水を捧ぐる者の如し。心　　　　　　　　　　 ●りうせつ　　　　　　　　りう　手微動せば、則ち左に流洩せざれば、必ず右に流　せつ　洩す。前に流洩せざれば、必ず後に流洩す。是の　　　　　　　　 ●りんせつりはく　故に宜しく自から臨深履薄の念を内に存し、而て　　　　　　 ●すゐかん　師友父兄常に酔漢を扶くるの労を外に用ふべし。　　　こひねがは　則ち庶幾くば左右前後の流洩を免れん。　　下等之人、縁師友之資、強為善者、譬如　　捧満盂水者、心手微動、則不流洩于左、　　必流洩于右、不流洩于前、必流洩于後、　　是故宜自存臨深履薄之念於内、而師友父兄、　　常用扶酔漢之労於外、則庶幾免於左右前　　後之流洩矣、

●満盂の水。鉢一杯の水。 ●流洩。流れ出ること。 ●臨深履薄。深淵に臨み、薄氷を履む如く、戦戦兢々と慎しむこと、其の語、詩経に出づ。 ●酔漢。程明道、謝顕道に誨へて曰ふ、子と話す、酔漢を扶くるに似る、一方を救へば一方に倒ると、近思録為学類に見ゆ。

下　巻	訳者註
よ　　　　　　し六一　下等の人、師友の資に縁つて、強ひて善を為　　　　　　たと　 ●まんう　　　　　さゝ　すものは、譬へば満盂の水を捧ぐる者の如し。心　　　　　　　　　　 ●りうせつ　　　　　　　　りう　手微動せば、則ち左に流洩せざれば、必ず右に流　せつ　洩す。前に流洩せざれば、必ず後に流洩す。是の　　　　　　　　 ●りんせつりはく　故に宜しく自から臨深履薄の念を内に存し、而て　　　　　　 ●すゐかん　師友父兄常に酔漢を扶くるの労を外に用ふべし。　　　こひねがは　則ち庶幾くば左右前後の流洩を免れん。　　下等之人、縁師友之資、強為善者、譬如　　捧満盂水者、心手微動、則不流洩于左、　　必流洩于右、不流洩于前、必流洩于後、　　是故宜自存臨深履薄之念於内、而師友父兄、　　常用扶酔漢之労於外、則庶幾免於左右前　　後之流洩矣、	●満盂の水。鉢一杯の水。 ●流洩。流れ出ること。 ●臨深履薄。深淵に臨み、薄氷を履む如く、戦戦兢々と慎しむこと、其の語、詩経に出づ。 ●酔漢。程明道、謝顕道に誨へて曰ふ、子と話す、酔漢を扶くるに似る、一方を救へば一方に倒ると、近思録為学類に見ゆ。

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