山田準『洗心洞箚記』(本文)214 Я[大塩の乱 資料館]Я
2010.10.7

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『洗心洞箚記』 (本文)

その214

山田 準訳註

岩波書店 1940 より



◇禁転載◇

下 巻訳者註

            六八 陽明先生曰く、「鳴呼、知を致す如きは、則   しんご  ち心悟に存す。知を致さば尽きぬ」と。夫れ良知              しば/\うつ  は遠かるべからず。道たるや 屡 遷り、変動して                 な       あいかは  居らず、六虚に周琉し、上下常无く、剛柔相易り、  てんよう              典要を為すべからず、唯だ変の適く所のまゝ。故        えき  に良知は即ち易、易は即ち良知、一事として易な  らざるはなく、一事として良知ならざるはなし。    けいれい きよくれい     はん  故に経礼三百曲礼三千の繁と雖も、只だ致知の二    じんれう                 字に尽了す。姑く曲礼中の一事を以て之を道はん。  ぼく     ぎよ  僕婦人に御すれば、則ち左手を進め、右手を後に  す。国君に御すれば、則ち右手を進め、左手を後       にして俯す。一は左手を進め、一は右手を進む。    でうりせつぶん  たれ     くわつどう  其の條理節文、孰か之を活動せしむるや。宜しく  之を三思すべし。   陽明先生曰、「鳴呼、如知、則存乎心悟、   致知尽焉矣、」夫良知不遠、為道也屡遷、   変動不居、周流六虚、上下无常、剛柔相易、   不典要、唯変所適、故良知即易、易   即良知、無一事不易、無一事不良知、故   雖経礼三百曲礼三千之繁、只尽了致知二字、   姑以曲礼中一事之、僕御婦人、則進左   鉄炮、後右手、御国君、則進右手、後   左手而俯、一進左手、一進右手、其條理   節文、孰令之活動哉、宜思之


此語、「古本大
学序」の末文に
あり。

中庸に「道は
人に遠からず」
とあり。

道たる云々。
七句、易繁辞下
伝の文。六虚は
卦の六位を謂ふ、
典は常なり、要
は求むるなり。

礼記。礼器篇
に、「経礼三百、
曲礼三千、其の
致一なり」とあ
り。


『洗心洞箚記』(本文)目次/その213/その215

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