山田準『洗心洞箚記』(本文)216

山田準『洗心洞箚記』(本文)216 Я［大塩の乱資料館］Я
2010.10.9

『洗心洞箚記』　(本文)

その２１６

山田　準訳註

岩波書店 1940　より

◇禁転載◇

下　巻 訳者註

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　えい七一　樹の平地に生ずるものは、大なり易くして栄　も　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ●せうすゐ　茂す。石間に生ずるものは、大なり難くして憔悴　す。此れ豈命にあらざらんや。古より士の此れに　類するものあり。其の人もし君子ならば、則ち命　　　　　　いきどほ　　　　　しか　ばうくわん　を知り、以て慍らずと雖も、而も傍観する者は之　　　　　　ぴ　　ふん　が為めに一悲一憤せざるべからざるなり。故に孔　　　　　 ●ざうぶんちう　　　　ぬす　　　　　●　けい　子曰く、「臧文仲は其れ位を竊むものか、柳下恵　　　　　　　　　　とも　　た　の賢を知つて、而て与に立たざるなり」と。　　樹生於平地者、易大而栄茂、生於石間者、　　難大而憔悴、此豈非命哉、自古士之有類此　　者、其人如君子、則雖知命以不慍、而傍観　　者不可不為之一悲一憤也、故孔子曰、「臧　　文仲其竊位者歟、知柳下恵之賢、而不与立　　也、」

●憔悴。やつれ、弱る。 ●此語、論語衛霊公篇に出づ、臧文仲は魯の大夫。 ●柳下恵。魯の賢人。

下　巻	訳者註
えい七一　樹の平地に生ずるものは、大なり易くして栄　も　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ●せうすゐ　茂す。石間に生ずるものは、大なり難くして憔悴　す。此れ豈命にあらざらんや。古より士の此れに　類するものあり。其の人もし君子ならば、則ち命　　　　　　いきどほ　　　　　しか　ばうくわん　を知り、以て慍らずと雖も、而も傍観する者は之　　　　　　ぴ　　ふん　が為めに一悲一憤せざるべからざるなり。故に孔　　　　　 ●ざうぶんちう　　　　ぬす　　　　　●　けい　子曰く、「臧文仲は其れ位を竊むものか、柳下恵　　　　　　　　　　とも　　た　の賢を知つて、而て与に立たざるなり」と。　　樹生於平地者、易大而栄茂、生於石間者、　　難大而憔悴、此豈非命哉、自古士之有類此　　者、其人如君子、則雖知命以不慍、而傍観　　者不可不為之一悲一憤也、故孔子曰、「臧　　文仲其竊位者歟、知柳下恵之賢、而不与立　　也、」	●憔悴。やつれ、弱る。 ●此語、論語衛霊公篇に出づ、臧文仲は魯の大夫。 ●柳下恵。魯の賢人。

『洗心洞箚記』(本文)目次/その２１５/その２１７

大塩の乱関係史料集目次

玄関へ

『洗心洞箚記』 (本文)

その２１６

『洗心洞箚記』　(本文)