しんちよう た
七六 清朝の学者は、多く良知を貴ばず。他にあら
●かみ にく おもね
ず、是れ上の悪む所に阿るのみ。上の悪む所は、
● しん
亦た他にあらず。良知即ち孝弟のみ、士人もし真
つく ●おのれ あ
に孝弟の心を尽さば、則ち其の己に害あること勝
げて言ふべからざるものあり。之を悪むは此れを
あゝ
以てなり。吁、勢にあらざらんや。
清朝之学者、多不貴良知、非他、是阿上
之所悪而已矣、上之所悪、亦非他良知即孝
弟而已矣、士人如真尽孝弟之心、則其害乎
己有不可勝言者、悪之以此也、吁、
非勢乎、
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●上。清朝をい
ふ。清の朝廷は
隕明学を好まず。
●孝弟は良知の
発したるもの。
●己に害云々。
真に孝弟の心を
尽さば、清朝に
臣服せず。故に
害あり。
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