●こうさい●きりん せんやく ひと
三二 寸魚の口腮・ 鱗・潜躍は、大鯉と斉し。小花
がく た ●ずゐ へん
の蕚為り蕊為り、片為り、香為るは、猶牡丹に類
まさ ●
する有り。識者此に於て当に小を語れば天下よく
●
破る莫きの精微を知るべし。故に三千の儀、一も
缺ぐべからざるものなり。聖人は天地と徳を合は
●
す、郷党の細微に於て尤も見るべし。
寸魚之口腮 鱗潜躍、与 大鯉 斉焉、小花為 蕚
為 蕊、為 片為 香、猶有 類 於牡丹 、識者於
此当 知 語 小天下莫 能破 焉之精微 矣、故三千
之儀、一不 可 缺者也、聖人与 天地 合 徳、於
郷党之細微 、尤可 見矣、
三三 是を知り、非を知り、善を知り、悪を知る、是
● せう
れ乃ち良知の照にして、良知の体にあらざるなり。
●か
陽明先生特に意欲ある者の為めに権りに之を言へ
るなり。
知 是知 非、知 善知 悪、是乃良知之照、而非
良知之体 也、陽明先生特為 有 意欲 者 権言 之
也、
| ●腮。魚のあぎ
と。
● 。ひれ。
●蕚。花のうて
な。
●蕊。しべ。
●小を語云々。
小の中に総て大
の機関が具はる。
●三千。中庸に
威儀三千の語あ
り。
●論語郷党篇に、
孔子に関する細
微の事を記す。
●王子は「良知
は常に覚り常に
照らす」などい
うて体と照とを
合一す。
●権言の意、中
斎先生は、体に
は何物も無しと
の意に出づ。 |