山田準『洗心洞箚記』(本文)243 Я[大塩の乱 資料館]Я
2010.11.15

玄関へ

大塩の乱関係史料集目次


『洗心洞箚記』 (本文)

その243

山田 準訳註

岩波書店 1940 より



◇禁転載◇

下 巻訳者註

   だいていし                がふ 九五 大程子曰く、「天人は本と無二、必ずしも合  と言はず、只だ是れ一個の誠なり。天地万物鬼神  は本と無二なり」と。謹みて按ずるに、程子の学  は誠を以て主と為す、敬は其の功なり。然らば則                    ちやくけつ  ち濂渓先生の誠の字より来る、是れ其の嫡血なり。  故に朱子曰く、程子の学は誠を以て本と為すと。  而て其の天人無二と謂ふは、則ち人は固より天な  り。而て天の徳たる、一誠のみ。故に人太虚に帰  すれば、則ち亦た只だ一誠のみ。天を生み地を生  み、鬼を成し帝を成す、皆是れ誠の徳なり。故に  程子又た曰く「天は即ち性、性は即ち心、天を生  み地を生み万物を化育する所以なり」と。陽明先                 せいれい       こ  生亦た曰く、「良知は是れ造化の精霊にして、這     の些の精霊、天を生み地を生み、鬼を成し帝を成                  す、皆此れより出づ、真に是れ物と対なし」と。  てい  わう    ふ  程・王の説符を合する如し。而て陽明先生云ふ所           きよれい  の良知は、即ち天の虚霊なり。其の万古不易にし  て而て一なるものは、即ち誠なり、二あるにあら  ざるなり。   大程子曰、「天人本無二、不必言合、只是一   個誠、天地万物鬼神本無二」、謹按、程子之学、   以誠為主、敬其功也、然則従濂渓先生誠字   来、是其嫡血也、故朱子曰、程子之学、以誠   為本、而其謂天人無二、即人固天也、而天   之為徳、一誠而已矣、故人帰乎太虚、則亦   只一誠而已矣、生天生地、成鬼成帝、皆是   誠之徳也、故程子又曰、「天即性、性即心、所   以生天生地化育万物、陽明先生亦曰、   「良知是造化的精霊、這些精霊、生天生地、   成鬼成帝、皆従此出、真是与物無対」、   程王之説如符、而陽明先生所云良知即天   之虚霊、其万古不易而一者、即誠也、非一   也、


大程子。程明
道のこと。兄を
弟と区別して大
字を附す。

天人は無二に
して、合一とい
ふに及ばず。

嫡血。嫡出の
血統。














伝習録に出づ。

造化精霊。造
物者のたましひ、
但し造物者とて
一体あるに非ず、
宇宙の気機之を
造化といふ。

物と対なし。
絶対のこと.


『洗心洞箚記』(本文)目次/その242/その244

大塩の乱関係史料集目次

玄関へ