一二二 李延平先生曰く、「書を読む者は、其の言
ふ所吾が事にあらざるなきを知り、而て吾が身に
つ
即いて以て之を求むれば、則ち凡そ聖賢の至る所、
而て吾れの未だ至らざる所のもの、皆知るべし、
●
もし直ちに文字を以て之を求むれば、其の詞義を
●ぐわんぶつさうし
悦び、以て誦説に資するも、其の玩物喪志たらざ
ほとん まれ
る者幾ど希なり」と。夫れ書を読むは則ち吾が身
つ
に即いて以て之を求む、之を求むる所以のものは、
の
吾が心の理経籍に載るを以ての故なり。此れは是
てい けつ
れ程門読書の訣にして、先生毎毎学者の為めに言
ゆるが ●りうたう かへ
へり。而も末学只だ之を忽せにし、流蕩して反る
ほと まれ
を忘れ、玩物喪志ならざる者幾んど希なり。吾人
すべか いましめ う
須らく其の誡を承けて其の教を奉ずべし。
李延平先生曰、読書者、知其所言莫非吾
事、而即吾身以求之、則凡聖賢所至、而
吾所未至者、皆可知矣、若直以文字求
之、悦其詞義、以資誦説、其不為玩物
喪志者幾希、」夫読書則即即吾身以求
之、所以求之者、以吾心理載於経籍故
也、此是程門読書之訣、先生毎毎為学者言、
而末学只忽之、流蕩忘反、不玩物喪志者
幾希、吾人須承其誠而奉其教矣、
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●文字を以て云
々。吾が事とせ
ずして、文字と
して講求す。
●玩物喪志。書
経旅契篇に「人
を玩べは徳を喪
ふ、物を玩べは
志を喪ふ」とあ
り。物に対する
嗜好の強きより
本心を喪ふ。
●流蕩云々。流
れ溺れて我が身
心に反ることを
忘る。
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